医師のキャリアプランとは?年代別のプランの立て方を解説
医師としてキャリアプランをどう立てるべきか悩んでいる方も多いでしょう。また、キャリアの築き方に迷っている方もいるかもしれません。
本記事では、医師にとってなぜキャリアプランが重要なのか、年代別でのキャリアの築き方の例を挙げながら解説していきます。
自身に適したキャリアを積んでいくために、必要なことを考えてみましょう。
目次
医師のキャリアプランとは
医師はキャリアアップや活躍できる場面が豊富です。
たとえばフリーランスとして独立し、自分のペースで働くことも可能です。また、医療過疎地域での医療活動を通じて地域医療に貢献することもできます。都会の病院での勤務とは異なる経験を積み、医師としてのスキルを広げることができます。
将来的に開業を目指す医師にとっては、スキルアップとともに費用面の準備が必要です。開業資金の確保や、適切な立地の選定、経営に関する知識の習得など、開業医として成功するためには多くの準備が求められます。また、開業後の経営やマーケティングも重要な課題となります。
このように、多岐にわたるキャリアパスを実現するためには、早い段階から明確なキャリアプランを立てることが重要です。目標を実現するための資格取得や、必要なスキルを身につけるための転職活動などを計画的に進める必要があります。
医師のキャリアにおける選択肢
医師のキャリアにおける選択肢として以下の5つを解説します。
- 勤務医として働く
- 開業医として働く
- 研究医として働く
- 産業医として働く
- その他
勤務医として働く
勤務医は、医療機関に所属し、専門性を磨きながら患者さんの診療に従事します。初期研修を経て専門研修に進み、自身の専門分野を深めていきます。大学病院や総合病院、専門病院など、さまざまな医療機関での勤務を通じて幅広い経験を積むことができます。チーム医療の一員として他の医療スタッフと連携し、高度な医療を提供する役割を担います。専門医資格の取得や学会活動を通じて、常に最新の医学知識と技術を習得する機会があります。キャリアの後半では管理職として診療科や部門の運営に携わることもあります。
開業医として働く
開業医は、自身の理念に基づいた医療を実践できる独立したキャリアを築きます。通常、病院勤務で十分な経験を積んだ後に選択されることが多く、地域に根ざしたかかりつけ医として患者さんの健康を長期的に見守ります。診療所の新規開設や既存クリニックの継承、複数の医師によるグループ診療など、開業形態は多様です。医療の提供だけでなく、経営者としての視点も求められ、スタッフ管理や経営戦略の立案など、幅広いスキルが必要となります。地域医療の要として、予防医学や在宅医療にも力を入れる機会が増えています。自由度が高い反面、経営の責任も伴うため、医療と経営のバランスを取ることが重要です。患者さんとの長期的な信頼関係を築ける点が大きな魅力となっています。
研究医として働く
研究医は、臨床試験や治験をおこなって疾患のメカニズムを解明したり、新しい治療法や新薬の開発を行います。
研究医は、臨床現場に関わりながら研究をおこなう「臨床研究医」と、研究室で働く「基礎研究医」に分かれます。それぞれの違いは以下のとおりです。
臨床研究医
臨床研究医は、臨床現場にも身を置きながら研究をおこないます。
新しい治療法や医療技術、新薬の実用化などを目的として研究を進め、場合によっては、患者さんを対象に臨床試験や治験も実施します。
基礎研究医
基礎研究医は臨床には関与せず、疾患の原因やメカニズム、医薬品の開発といった医学の根本的な領域を研究します。
おもにマウスや人の細胞を用いて実験をおこないます。
産業医として働く
産業医は労働者が健康で快適に働ける環境を作るため、専門的な指導や助言を行います。労働衛生に関する知識に加え、法規、行政制度の知識が求められます。産業構造の変化や高齢化、IT技術の進展、メンタルヘルスや過重労働問題に応じて、業務の重点項目が変化します。産業医には「専属」と「嘱託」の2種類の働き方があります。働き方を調整しやすいところから、ライフイベントが増える30代以降の医師にとっても有力なキャリアといえます。
その他
医師の資格や知見は、さまざまな分野で応用できるため、製薬企業で働くメディカルドクターや保険会社で働く社医、ヘルスケア産業のビジネス職や医系技官、起業といったさまざまなキャリアがあります。
【年代別】医師のキャリアプラン
医師としてのキャリアプランを年代別に解説します。
- 20代における医師のキャリアプラン
- 30代における医師のキャリアプラン
- 40代における医師のキャリアプラン
- 50代における医師のキャリアプラン
年代やライフイベントの変化によって、チャレンジできる機会や内容が変わります。医師としてどのようなキャリアを歩みたいかを考え、適切なプランを立てていきましょう。
20代における医師のキャリアプラン
20代は、医師としてのキャリアを築くために、将来に向けた土台作りをする重要な時期です。医師免許証取得後、2年間の初期臨床研修で基礎となる臨床経験を積んだ後、3〜5年間の専門研修で専門性を高めていきます。
臨床現場の経験を通じて、さまざまな医療知識やスキルを身につけることで将来の選択肢が広がります。
自己研鑽を積むなかで、自身の得意分野や興味のある領域が明確になり、理想とする働き方が見えてきます。
多くの医師や患者さんと触れ合うことで、医師としての価値観が変わり、転科を選択するケースもあるでしょう。
将来の医師像を思い描き、長期的な視点で方向性を決めることが大切です。
30代における医師のキャリアプラン
医師における30代は、専門性をさらに磨き、多くの経験を積む時期です。専門医・認定医の資格を取得したり、指導やマネジメントにも関わる医師が増えます。
専門医・認定医資格を取得したあとは、医師にとってキャリアの転換機となります。他の医療機関に転職したり、フリーランスの医師へ転向したりするケースもあるでしょう。
30代になると、結婚や出産、子育てなどのライフイベントも増えてきます。そのため、仕事以外の場面でどのように生活していきたいかを考えたり、ライフステージの変化にあわせて、医師としてのキャリアを選択していく必要があります。
仕事と家庭のバランスを取るために、非常勤やスポット勤務など、柔軟な働き方をするのも1つの手段です。
家族やご自身の状況に合わせて、30代のキャリアプランを立てていくことが重要になります。
40代における医師のキャリアプラン
医師における40代は、これまでの医師としての経験によって、知識や技術がより強固なものになっていきます。
医師としての実績が評価されると、市場価値が高まり、転職しやすくなります。医師不足地域の医療機関からオファーを受け、新たに活躍の場を広げる医師もいます。
また、新人・後輩医師の育成のためにマネジメントのポジションにつく医師がいる一方で、医師として臨床の場で医療に貢献し続ける選択肢を取ることもあります。
開業医としてクリニックを構えるタイミングとしても適しています。
50代における医師のキャリアプラン
医師における50代は、キャリアにおけるピークを迎える期間です。医療機関のなかでも、役職に就いたり、責任のあるポジションを任されるケースが多くなるでしょう。
勤務医として働いている場合は、定年が近づいていくなかで現在の環境で勤務を続けるのか、それともこれまで培ったスキルを活かして転職するのかを決めるタイミングになります。
診療科や業務内容によっては、加齢にともない自身のスキルを発揮できなくなる場合もあるため、施設内でマイナーチェンジをするという選択肢もあります。
ワークライフバランスを重視したゆとりのある働き方にシフトすることを視野に入れてもよいでしょう。
医師がキャリアプランを立てる際のポイント
キャリアプランを立てる際には、以下のポイントに留意して考えてみましょう。
- 何歳まで働くのか
- 妊娠・出産・子育てをどう考えるか
- 家族の働き方はどうなるか
- 開業・転職するのか
何歳まで働くのか
医師としてのキャリアを考える際、何歳まで働くのか、何歳まで働けるのかという視点を持つことは重要です。
国の定年制度では、高年齢者雇用安定法により、60歳未満の定年禁止と65歳までの雇用確保措置が義務付けられていましたが、2021年の法改正により、70歳までの就業機会の確保が努力義務となっています。
国立病院で勤務している医師は、公務員として65歳が定年とされていますが、民間病院では65〜70歳での定年、または定年制度そのものを廃止している場合もあります。
自分のキャリアプランや勤務先の規定に応じて、どの年齢まで働くのか計画しましょう。
妊娠・出産・子育てをどう考えるか
30代以降は、妊娠・出産・子育てといったライフイベントが増える時期です。特に女性医師の場合、母親としての生活のバランスをとることが重要です。
たとえば、出産後もフルタイムで医師として働き続けるためには、子育て支援制度が充実した地域での勤務を検討するのも一つの方法です。
また、子育てと医師としての働き方を両立させるために、転科や転職を選ぶことも考えられます。
育児支援制度や、男女ともに取得できる育児休業制度などを活用しながら、自身のキャリアを実現していくことが求められます。
家族と働き方
医師としての働き方を考えるうえで、家族との関係を考慮することも大切です。たとえば、パートナーの勤務先の都合で転勤がある場合、その地域に移住して新たな医療機関へ転職する必要があるかもしれません。
または、家族と生活を別にし、単身で働き続ける選択肢も考えられます。親の介護や子育てなどの家庭の事情で、医師としての勤務時間を短縮したり、転科・転職を選択するケースもあるでしょう。
家族との時間を大切にしながらも、医師としてのキャリアをどのように構築するのかをよく考え、家族と話し合って、最適な働き方を選びましょう。
開業・転職するのか
医師としてある程度キャリアを積み重ねてくると、「この道で良かったのか」と自問自答することもあるでしょう。その際、開業や転職といった選択肢を検討してみるのも良いでしょう。開業医としてのキャリアは、勤務医と異なり、診療スタイルや働き方を自分の裁量で決めることができます。
自身の信念に基づいた医療を実践し、キャリアを築くことが可能です。一方、転職することで、新たな医療機関で経験を積み、視野を広げる機会が得られるかもしれません。
どのように医療と向き合い、どの道に進むべきかをよく考えて、自分にとって最適なキャリアプランを選んでいきましょう。
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勤務医から開業医へキャリアをシフトした事例や、勤務医として他の医療機関へ転職した事例など、医師のキャリアプランを立てるうえで有益な情報をご提供させていただきます。
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医師としてキャリアを歩み、理想のライフスタイルの実現に向けて前進していきましょう。
まとめ
医師のキャリアプランは、人生のステージや環境、年代に応じて多様化しています。医師としてのキャリアは、勤務医、開業医、研究医、産業医といった多くの選択肢があり、それぞれに特色と魅力があります。例えば、勤務医として経験や症例を積み専門性を追求する道もあれば、開業医として地域医療に貢献していくことも可能です。
年代別に見ると、20代では基礎を固めることが中心であり、30代は専門性の確立とライフイベントとの調和が鍵となります。40代には経験を生かして新たな挑戦やポジションへの移行が考えられ、50代には知識と技術を生かした最終的なキャリアの選択が求められます。
このように医師のキャリアプランは、年代や個人の状況に応じて柔軟に設計することが重要です。自分のライフスタイルや目標に合わせたキャリアプランを立てるためには、早期からの計画と慎重な検討が必要です。
■参考情報
- 厚生労働省 高年齢者雇用安定法 改正の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001245647.pdf - 東京都医師会 産業医とは
https://www.tokyo.med.or.jp/sangyoi/whats