開業事例

いのうえこどもクリニック

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いのうえこどもクリニック

開業タイプ 新規開業
科目 小児科
所在地 〒573-0163 大阪府枚方市長尾元町2-22-1
TEL TEL:072-807-3753
URL https://inoue-kodomo.com

インタビュー

開業のきっかけを教えてください。

医師になる前は、関西国際空港で働いていました。その際、空港の利用客の中で体調を崩された方に対して救急対応している医師を見て、専門性があり直接人を助ける職業に就きたいと思ったのがきっかけです。

小児科医を志したのは研修医のころです。重度の脳症患者様を担当するなど、ずっと張り付いているような状況で、自分が最も必要とされている気がしました。小児科は全身を診ますし、子どもが成長する姿を見ることができるのも嬉しく、医師としてやりがいを感じました。指導してくださる先生たちも、純粋な気持ちで対応していると感じ、その部分にも魅力を感じました。

いのうえこどもクリニックのイメージ
院長 井上 敬介 氏

開業を考えたのは2019年、49歳のころです。自分の医師としてのこれからを考えた時に、このまま勤務医を続けたとしても定年退職がきてしまう。定年後もできる限り医師として働き続けたいと思い、開業に踏み切る決心をしました。

私は小児科の中でも消化器が専門です。お腹の痛みで来院する子どもさんが多いのですが、小児の消化器専門医は少ないのが現状で、一般的なお腹の痛みに対応できるクリニックへの需要は大きいと思っていました。子どものお腹の痛みには、重篤な疾患が隠れているケースもあり、痛みへの対応を重視しつつ、隠れた重篤な疾患を見つけられることが強みになると考えています。実際、開業後に腹痛で来院された患者様の中で、重篤な疾患が判明した例もありました。

開業を思い立ってから、『総合メディカル』のセミナーに参加しました。実は、それまでにも他のコンサルタント会社と話を進めていたのですが、「考え方が合わない」と感じるようになっていたためでした。

私の出身は大阪ではなかったので、当初故郷に帰っての開業も考えていたのですが、前のコンサルタントにはその考えを理由なく却下されました。一方、総合メディカルのコンサルタントの方は遠方にもかかわらず、すぐに動いてさまざまな調査をして下さり、納得のできる結果を説明してくれるなど信頼できると感じ、総合メディカルに協力を依頼することに決めました。

開業まで、どのような準備をしましたか。

開業場所は総合メディカルの提案で、現在の医療モール内に決めました。JR長尾駅から徒歩圏内で、枚方市の中でも子どもの数が増えている地域です。近隣に小学校が4校あり、児童数も多いことや、隣接するスーパーマーケットの無料駐車場(90台)を利用できることに魅力を感じました。

開業までの約1年半、総合メディカルにはあらゆることに協力してもらいました。職員採用の面接も含め、本当にお世話になりました。総合メディカルとの面談は、初めは月1回程度で開業間近には週1回、丁寧に対応してもらいました。私が考えていることを話し、一緒に具現化していけたと思います。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中での開業でしたので、不安はありました。当初の予定から開業を半年遅らせましたが、開業直後から新型コロナウイルス感染症への対応などを求められる中、スタッフに助けてもらうことも多くありました。検査の方法やワクチンの申請など新しいことばかりでしたが、総合メディカルをはじめ、さまざまな方面の方々にご尽力・お力添え、アドバイスなどを頂きクリニックの体制を整えることができました。

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待合室の混雑を防ぐため、WEB予約も導入している。

どのようなクリニックを目指していますか。

小児科は、地域に密着し、子どもたちを健やかで心豊かに育んでいけるよう、ホームドクターとしてご家族と一緒に支えることが大切だと思います。お子さまの病気を診ることはもちろん、育児やお子さまの成長・身体のことで不安を抱えているご家族にも安心していただけるクリニックを目指しています。

勤務医だった時の病院と当院の場所は約6キロメートル離れており、生活圏が異なります。そのため、病院の勤務医の時に担当していた患者様で、現在も当院に通院されている患者様は数名で、9割以上が新規の患者様ですが、開院前の事業計画以上に来院していただいております。主に感染症の患者様が多いのですが、お腹の痛みを訴える患者様もいらっしゃいます。

診療内容の特色は、便秘外来を設けているところです。子どもの便秘は、排便を我慢することから起こることが多いです。便秘になりやすい時期は離乳食開始やトイレトレーニング開始時のほか入園、入学時です。大人に比べ、子どもの便秘の治療期間は長くなる傾向があります。早期に治療開始することで治療効果も上がるので、早めの受診を勧めています。

施設内は診察室と完全個室の隔離室を3つと処置室を設けました。多くの小児科に隔離スペースはあると思いますが、カーテンなどで仕切っているケースが多いと思います。当院は、隔離室の1つ1つは狭いながらも扉をつけ、ベッドを設置し部屋として隔離できるようにしています。新型コロナウイルス感染症が拡大している状況の中での開業準備だったので、患者のみなさまに安心して来院していただけるようきちんと個室を作りたいと思いました。授乳室のほか、トイレは大人用、子ども用を設置し、子ども用の消毒設備や更衣室を設けるなど、感染防止対策を徹底しました。

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個室の隔離室を3つ設置し、来院患者同士の接触時間の短縮を図る。
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メイン診療室「にじのへや」。
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処置室は「もりのへや」と命名

地域密着のため、どのような取り組みをしていますか。

生活スタイルが多様化する現代社会において、家事・育児・仕事など毎日やることが山積みで思い悩む保護者の方も多いと思います。実際、私も父親として子育ては楽しいですが、大変なことも経験しています。だからこそ、子育て中の多くのご家庭が、様々な子育ての悩みを抱えていることにも共感できます。医師として、お子さまの病気を治療するだけでなく、ご家族の不安に寄り添い支えることのできる身近なホームドクターを目指しています。

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親御さんのメンタルサポートも重視している。

スタッフにも、お子さまやご家族に対して、挨拶はもちろん待合での様子や診察室を出た後に受付での何気ない発言などにも気配りしてもらいたいと伝えています。これは、診察中の医師との会話だけでなく、それ以外の場面でもお子さまやご家族は何か伝えようとしていたり、サインを送っていたりするかもしれないからです。いつもと様子が違ったり、何か不安そうな表情だったり、そのような時にこちらから声をかけて気遣えること、その積み重ねが大切だと思っています。

また、当院だけでなく、市の保健センターの保健師や助産師とも連携し、バックアップの必要なケースと判断した場合は、ご本人とご家族の了承を得てから保健センターに連絡しサポートをお願いしています。保健センターの役割を知らない方も多いので、医療機関だけでなく、他にも相談できるところがあると知ってもらうことでさらに安心される方もいらっしゃいます。

重症の患者様の場合、近くの市立ひらかた病院や関西医科大学附属病院に紹介しています。当院では、血液検査、エコー、レントゲンなどを設置しておりますが、より精査が必要な場合や入院による加療となりますと総合病院との連携が重要です。

医療モール内に「そうごう薬局」がおり、連携しているのも強みです。患者様の声のフィードバックなど、報連相がしっかりできており大変助かっています。

当院がかかりつけ医となり、多様な専門職や医療機関との連携により地域の方々が色々と相談できる体制を整え、これからも「地域のみんなで育てる」ことに取り組んで参ります。

最後に、この「開業奮闘記」の記事依頼をいただいた時、正直恐縮しましたが、今後、開業をお考えの方々のご参考になれば幸いです。

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待合室の一角に設けたキッズコーナー。
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授乳室も完備。
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子ども用トイレ、おむつ交換台を設置した化粧室。

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