開業事例

みなみ内科・外科クリニック

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みなみ内科・外科クリニック

開業タイプ 新規開業
科目 一般内科、消化器内科、外科、乳腺外科
所在地 〒457-0843 愛知県名古屋市南区忠次1-1-6
メディカルガーデン名古屋南2階
TEL TEL:052-691-5888
URL https://mngc.jp

インタビュー

開業のきっかけを教えてください。

これまで消化器外科医として研鎖を重ね、名古屋大学医学部附属病院では膵がん・肝がん・胆管がんなどの高難度手術を手掛けてきました。手術を通じて多くの人に貢献でき、やりがいを感じていましたが、これらのがんは難治性であり、残念ながら予後の悪い方が多くいらっしゃったのも事実でした。こうした経緯もあり、早期発見や予防に直接的に関わる地域医療で、より多くの人の健康維持に携わりたいとも思っていました。

40歳を人生の分水嶺と考えると、それまでに方向性を決める必要性を感じていました。30代半ばに約1年半、米国テキサスに留学の機会をいただき、留学先のスタッフだけでなく、他業種で活躍する日本人とも交流する中で、皆さん年齢に関わらず、思い切ったチャレンジをされており、そのような人生も悪くない、と思うようになりました。大病院で指導的な立場を目指すというこれまでのキャリアを手放すことは、悩ましくもありましたが、一度しかない人生で挑戦するなら、40歳がそのタイミングだろうと思い、決意しました。

みなみ内科・外科クリニックのイメージ
院長 園原 史訓 氏

開業まで、どのような準備をしましたか。

当初は、患者さんを引き継げることがメリットと考え、継承物件を探していました。WEBで継承物件を調べたり、開業セミナーに参加したりする中で、総合メディカルのコンサルタントと出会いました。後々、医局の先輩も総合メディカルのコンサルを受けて開業した、ということが分かり、お任せして良かったのだ、という気持ちになりました。

はじめは居住地の名古屋市だけでなく、周辺地域も含めて、承継物件を紹介いただきましたが、せっかく人生をかけてチャレンジするのに、他人が作り上げたものを引き継ぐのでは面白くないと考えるようになりました。継承のメリットである既存のスタッフや設備は、同時に制約にもなりうるので、せっかくであれば新規開業がいいのでは、と思うようになりました。大学病院勤務中は研究や論文執筆など、新しいものを生み出すことも積極的に行っていましたし、留学経験から意外に何とかなる、と実感したので、安全策よりチャレンジする道を選択しました。

そのように考え直していた時に、総合メディカルの企画する医療モールを提案いただきました。1年半ほど前に、先行して泌尿器科が開業していましたが、2階ワンフロアにスケルトンの状態で、新規開業できることに魅力を感じました。当初は、1年半空き物件だったことに一抹の不安を感じ、一度はお断りしましたが、自分で周辺の状況を精査し、駐車場を含めた敷地の状況、基幹病院との連携のとりやすさ、居住地からの距離など十分納得できたことと、やはりモール型であっても自分の好きな間取り、内装を実現できるのは悪くない、と思い、この物件で新規開業する決断をしました。

間取り・内装を決めていく作業は想像以上に大変でしたが、楽しくもありました。幸い建築士の先生は、再三にわたる図面の引き直しにも嫌な顔をすることなく付き合って下さいました。診療内容は消化器内科、外科、乳腺外科が中心となるため、内視鏡室、超音波室など必要な部屋を配置し、プライバシーにも配慮した動線かつスタッフの働きやすい動線としました。加えて、開業準備とコロナ禍が重なったため、換気や感染者用個室の配置をどうするかなど、ますます考えることが多くなりました。実際に内装が完成するまでは心配でしたが、引渡し時には思い通りの出来上がりでとても満足しています。細かな修正したい点もありますが、多くの方に褒めていただき喜んでおります。

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入口の左側が待合室、右側が感染者用個室診察室。

また、開業1か月前まで大学病院で働いており、総合メディカルに物件探しや内装の設計・相談だけでなく、タイムスケジュールに沿った融資・医療機器選定・厚生局への手続きなど、あらゆることの段取りをお任せしていなければ不可能だったと思います。

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間接照明で患者さんを温かく迎える受付。
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超音波室へは、乳腺外科受診者は一般の患者さんとは異なる動線で案内。
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落ち着いた雰囲気の待合室。奥は乳腺外科受診者専用。

どのようなクリニックを目指していますか。

消化器疾患や乳腺外科への専門性と、かかりつけ医機能の2本柱で地域の人たちを支えるクリニックです。名古屋市南区は高齢化率が高く、自分が手掛けてきた専門性を生かして貢献したいと思います。開業時には、高齢の患者さんが多いだろうと見込み、看板や地域の印刷物などを通じて、近隣の人たちに当院を知ってもらうよう働きかけました。開業後は、案外20代から50代の働き盛りの方の受診も多く、ホームページの充実やSEO対策などにも力を入れるようになりました。

開業地は基幹病院や大学病院へのアクセスがよく、連携がとりやすい場所です。医師会への入会はもちろん、基幹病院主催の勉強会に積極的に参加するなど、地域の先生方や基幹病院との関係構築も大切にしました。開業とほぼ同時期、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、週100件以上の接種を担当したことはクリニックの周知に役立ちました。

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「消化器疾患への専門性とかかりつけ医機能を充実させたい」と語る園原史訓院長。

開業から1年が経過し、現在の患者さんは1日50人程度です。計画と比べるとまずまずの出来でしょう。慢性疾患を除いた初診患者さんの比率は、消化器内科6割、乳腺外科が3割程度です。胃カメラや超音波検査はそれぞれ月30件ほどで、検査件数は順調に伸びています。小手術など、自分のできる範囲は対応し、基幹病院受診の必要がある人には、早めの紹介を心がけています。逆紹介も増えており、少しずつ地域のかかりつけ医になれているのかなと思います。

患者さんにとって便利なクリニック、という考えも特色とうかがいました。

私の人に接するときのモットーは相手へのリスペクトです。どの年代の人に対しても、話をよく聞き、患者さんの要望にできるだけこたえ、患者さんにとって便利なクリニックにしていきたいと思います。開業時は予約制ではありませんでしたが、患者さんの便利さやスタッフの動きやすさを考えて、予約システムを導入しました。その後も、患者さんの要望でLINEやWEBで予約できる仕組みを取り入れるなど、柔軟な対応も大切にしています。診察時には、事務職員が医療クラーク的な役割を担います。電子カルテや医療連携システムへの入力補助など、患者さんのスムーズな受診に役立っていると思います。

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3室ある個室では、診療から検査、治療、会計までを済ませることが可能。

スタッフは、人柄第一で選びました。私の考え方を理解して行動し、患者さんのことを第一に考えられる人です。経験の長さは様々ですが、それぞれが今まで取り組んできたことを踏襲しつつ、私が大切にしたい診療姿勢を実践してもらっています。

今後の目標を教えてください。

当院は消化器がんや乳がん検査のほか、ピロリ菌検査などの検診を積極的に実施しています。胃カメラ検査は当初、鎮静剤を使っていませんでしたが、半年後には鎮静剤使用での検査も導入しました。ロコミで評判になり、当院で検査を受ける方が増えてきました。

乳腺疾患は、職場健診などで精密検査が必要になった方の受診が増えています。超音波検査のほか、細胞診や生検も行っており、気になることがあれば気軽に受診してほしいと、SNSなどでも呼びかけています。

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乳腺疾患で気になることがあれば、と気軽な受診を呼び掛ける。

開業初年度は様子を見る年でしたが、2年目に入り、より便利に多くの人に来ていただくには、スタッフの増員が必要だと実感しています。看護師2人、事務員3人(パート含)体制を、同3人、同5人の8人体制に変更し、2年目から社会保険にも加入しました。

多くの検査希望者に対応するため、看護師3人は必要ですし、少ない人数でギリギリの状況で働くより、スタッフが気軽に休める体制を整えたいと思います。早期発見ができ、かかりつけ医機能を持ち、働きやすいクリニック。関わる人みんなにとって、WIN-WIN-WINな存在でいたいですね。

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