もりのぶクリニック
もりのぶクリニック
開業タイプ | 継承開業 |
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科目 | 内科、リウマチ科 |
所在地 | 〒651-2414 兵庫県神戸市西区大沢1-14-47 |
TEL | TEL:078-969-1910 |
インタビュー
開業のきっかけを教えてください。
リウマチを専門に選んだのは、高校時代、生物の先生が免疫について教科書で扱う範囲を超えて、当時の最新の知見を丁寧に教えてくださったことがきっかけです。診療科目を選ぶ時は、婦人科や循環器科などの別の診療科と迷うこともありましたが、基礎的な免疫反応が興味深いということと、自分がやりたいと思うことでないと継続できないと思い、リウマチ科を選択しました。リウマチは女性に発症しやすく、長く診ていく病気です。これまで患者さんとより長く付き合っていきたいという思いで取り組んできました。
40歳くらいのころ、なんとなく開業しようと考え、以前からお世話になっていた開業医の先生に相談したところ、「開業には向かないからやめておけ」と言われました。理由は「お金の計算(損得勘定)が得意ではない」。自分でも自覚しておりましたので、この時はあっさり断念しました。
年齢が50歳に近づいた2019年、「何か新しいことにチャレンジするのも最後かな」と思うようになりました。そして、昔抱いていた医師のイメージである「町のお医者さん」を目指してみようと思い至りました。
開業まで、どのような準備をしましたか。
何から始めたらいいかわからず、まずは同級生が出版した開業に関する本などを読み、数社の開業セミナーに参加しました。そのうちの1社が総合メディカルで、新規だけではなく継承案件も考えてはどうかと紹介いただき、とんとん拍子に話が進みました。
継承元の先生は地域に密着し、患者さんと正面から向き合って診療されていました。私も、そんな医療を目指したいと思える理想が見えた気がしました。継承元の先生は外科が専門でしたので、全く同じ医療は提供できませんが、地域の人に対する姿勢を始め、基本的な部分はそのまま引き継ぎたいと思い、建物や設備、スタッフも含めて継承を決めました。クリニックは自宅から離れてはいますが、通勤時間は頭を切り替える時間にあてて楽しむようにしています。
事情により、私が継承する前1年間は臨時の医師が診療を行っていました。この医師の退職と同時に私も前職を辞し、引き継ぎ期間ゼロで継承元での診療を開始しました。慌ただしい継承でしたので、PRなどを含めた開業準備は、総合メディカル任せでした。必要な戦略等は総合メディカルが提案してくださり、私と意見交換しながら進めるというスタイルでした。
最低限必要な内装の改装は連休を利用して行い、クリニックの看板は午後の休診を使って架け替え。バタバタでしたが、なんとか継承にともなう休診日を設けることなく開業しました。開業セミナーに参加してから、約5か月という短期問での開業だったので、もう少し時間をかけて勉強した方がよかったかもしれないと思うこともありますが、逆にいろいろ悩む暇が無く、かえってよかったと思っています。総合メディカルのサポートを得なければ、スピード開業はできなかったことは間違いなく、感謝しています。
継承後、患者さんの受診に変化はありましたか。
継承元の先生は内科疾患も診察されていたため、ほとんどの患者さんを引き継ぎました。リウマチについては、定期的に勉強会を開催して、少しでもスタッフの不安が解消できるようにしました。
男性の患者さんの中には、医師が男性から女性に変わったことに戸惑う方もいらしたようですが、女性の患者さんは歓迎してくれたようです。
メンタル面や女性特有の症状など、さまざまな悩みの相談を受けるようになり、女性患者さんにとっては今まで男性の医師に聞きづらかったことも、気軽に相談できるクリニックになってきたのではないかと思います。
1日の患者数は、ワクチン接種や発熱外来も含め、60~90人、新患は1日4~5人、多い日で10人程度です。1日平均患者数40人で想定していたので、想定を超える数の患者さんに受診いただけるようになりました。開業当初、まずは引き継いだ患者さんを丁寧に診ようと、リウマチ科についてのPRはしませんでしたが、最近は近隣の整形外科の先生からも少しずつ患者さんをご紹介いただくようになりました。膠原病やリウマチについてお困りの先生方に、もっと当院を活用していただけるようになりたいと考えています。
どのようなクリニックを目指していますか。
リウマチや膠原病の診療は、専門性を生かし、最新の医療を提供できるように努力し、またどの患者さんに対してもできるだけ丁寧な診療を継続していきたいと思います。
受付4名、看護師4名のスタッフは多少の入れ替わりや増員がありましたが、半数は10年以上勤務しています。スタッフみんなが、私がびっくりするくらいに患者さんのことを知ろうとし、そして気にかけてくれています。一人暮らしの高齢者に、新型コロナウイルスやインフルエンザワクチンを適切な時期に接種できるよう予約を調整するなど、細やかな気遣いができる人たちです。このスタッフのおかげで、これまでコロナワクチンを一人分も破棄することなく、接種し続けることができています。地域を知るという意味ではスタッフが軸であり、私はその助けを借りて、かかりつけ医としての役割を担っていきたいと考えています。
私には現在、大学生と高校生の子供がいます。産後半年から1年で仕事に復帰し、ずっと仕事を続けています。スタッフは全員女性で、子供だけでなくそれぞれ様々な事情を抱えていますが、お互いの理解は良好で、急に欠勤する必要がある場合でもスタッフ同士でフォローし合える体制ができています。働きやすいクリニックを継続していきたいですね。
今後の目標を教えてください。
まずはIT化を進めていきたいです。当院は、若い世代の人口比率が比較的高い明石市に近く、明石市在住の患者さんも多くお見えになっています。スマートフォンを当たり前に使い こなし、現金を持ち歩かない今の若い世代にも、いずれは受診いただきたいと考えており、少しずつ対応できるように進めていきたいと思います。
電子カルテの導入には取り組み始めたところですが、予約システムについては当面導入予定はありません。予約システムには、利点が数多くありますが、現在受診されている方は高齢者が多く、今のところ、患者さんがいつでも来られるという柔軟性を重視したいと考えています。
地域の人たちに向けた勉強会や予防の取り組みなども今後の課題です。新型コロナウイルス感染症の影響で、人が集まることが難しい状況が続いていますが、何らかの新しい地域貢献を見つけたいと思います。
開業を検討している女性医師にひと言お願いします。
私の場合、勤務医時代よりも拘束時間は長くなりましたが、夜中に電話がかかることはありませんので、仕事とプライベートをきっちり区切ることができます。また、責任はありますが、より自分のやりたい医療に取り組めるのも魅力です。
お金の計算ができなくても(笑)、子供がいても、開業して自分の目指す医療にチャレンジできるとお伝えしたいですね。