富山県の医院開業動向情報
人口当たりの病院数が多く、診療所は少ない。
北陸地方の東部に位置する富山県。富山県の医療施設は、病院数としては充実しているものの、診療所の数は十分とはいえません。
県内には約110の病院があり、これは人口10万人対病院数に換算すると10.0施設。全国平均の6.7施設を大幅に上回っています。対して一般診療所は約770施設。人口10万人対診療所数に換算すると71.8施設となって、全国平均の79.1施設には及びません。
そのため、診療所の開業ニーズは十分高いといえるでしょう。北陸地方に位置しており、実は充実した医療環境が整備されている富山県。各市町村に公的医療機関が配置されており、人口10万人対医師数は全国でも高い数値の248.5人。北陸3県の中ではもっとも医師数が充実した県になります。ただ、一方で民間の急性期病院が少ないことが課題とされており、開業へのニーズも十分高いといえるでしょう。
人口10万人対医師数の分布を二次医療圏別にみると、もっとも多いのは富山医療圏(204.4人)で、もっとも少ないのは高岡医療圏(132.7人)です。この間には約1.5倍の差があります。
地域医療の主体となっているのは、慢性期病院とクリニックです。高齢化が進む地域では在宅医療や介護医療が求められており、富山県は人口10万人当たりの在宅療養支援診療所数が全国47位、在宅療養支援病院数が全国22位と低迷していますが、介護施設サービスの利用率は全国2位と非常に高い需要があります。
このように高いニーズがありながら、富山県の一般診療所の新規開業はそれほど進んでいないようです。平成16年から平成26年にかけて診療所数は12施設が減少、増減率では1.6%のマイナスとなっています。北陸地方の石川県と福井県ではいずれも3%以上の増加を見せていることから考えて、近県と比較しても施設数がかなり足りていない県だといえます。これからの、診療所開業が待たれている地域です。