私たちの流儀(会員限定)

【第53回】石川 大

石川 大のイメージ

石川 大

順天堂大学医学部消化器内科准教授

所属・役職は取材当時(2024年9月10日)のものです。

国内の腸内細菌叢移植の研究・開発を牽引する

健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、患者の腸内に注入し、腸内環境を改善することで、治療の効果を上げていく「腸内細菌叢移植」の研究・開発が進んでいる。世界に目を向けると、アメリカやオーストラリアでは腸内細菌叢移植を応用した医薬品が、難治性クロストリジウム・ディフィシル感染症の治療薬として薬事承認されている。また、免疫チェックポイント阻害薬の効果が得られない悪性黒色腫の患者に、腸内細菌叢移植を行うと、免疫チェックポイント阻害薬の奏功率が上がる可能性が示唆されている。日本では、2023年1月から、順天堂大学など複数の施設で、潰瘍性大腸炎の患者を対象にした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が、先進医療Bとして始まっている。同大医学部消化器内科准教授の石川大(いしかわ・だい)医師は、腸内細菌叢移植の研究・開発を国内で牽引する。なぜ腸内細菌叢に着目したのか、腸内細菌叢移植はどんな可能性を秘めているのか、そして、この治療を、近い将来、必要とする多くの患者へ届けるためにどういった体制を整えつつあるのか。1時間を超えるインタビューで熱く語ってもらった。

プロフィール

1975年生まれ。2001年岩手医科大学医学部卒業後、順天堂大学医学部消化器内科学講座入局。09年から米国のケース・ウェスタン・リザーブ大学IBDリサーチセンターへ留学。11年に帰国し、順天堂東京江東高齢者医療センター消化器内科学助教などを経て、16年から現職。アジア炎症性腸疾患学会 Best abstract賞(18年)、アメリカ炎症性腸疾患学会 優秀論文賞(19年)、15thヨーロッパ腸炎学会 優秀演題発表賞(20年)などを受賞。医学博士。

石川大氏の主な論文

  • Anti-inflammatory Effects of Bacteroidota Strains Derived From Outstanding Donors of Fecal Microbiota Transplantation for the Treatment of Ulcerative Colitis
    Dai Ishikawa, et al. Inflammatory Bowel Diseases, Volume 30, Issue 11, November 2024, Pages 2136–2145, https://doi.org/10.1093/ibd/izae080
  • The Microbial Composition of Bacteroidetes Species in Ulcerative Colitis Is Effectively Improved by Combination Therapy With Fecal Microbiota Transplantation and Antibiotics
    Dai Ishikawa, et al. Inflammatory Bowel Diseases, Volume 24, Issue 12, December 2018, Pages 2590–2598, https://doi.org/10.1093/ibd/izy266
  • Changes in Intestinal Microbiota Following Combination Therapy with Fecal Microbial Transplantation and Antibiotics for Ulcerative Colitis
    Dai Ishikawa, et al. Inflammatory Bowel Diseases, Volume 23, Issue 1, 1 January 2017, Pages 116–125, https://doi.org/10.1097/MIB.0000000000000975

留学先での無菌マウス実験から、病因と腸内細菌との関係に着眼

会員限定コンテンツ

この記事を閲覧するには、
会員ログインが必要です。

ログイン・会員登録

私たちの流儀一覧