杏林大学医学部付属病院の研修ゲンバ
※下記の掲載内容は、2015年12月現在の情報です。
川嶋 聡子 先生(腎臓・リウマチ膠原病内科 指導医)
2001年3月に杏林大学を卒業後、同大学第一内科に入局。2003年に都立大久保病院へ出向。2004年から大学に戻り、2008年学位取得。 専門科を選んだきっかけは、膠原病や腎臓などについて、原因が分からないものがなんだろうか、と考えることが楽しかったためです。原因を探ろうといきいきと積極的にされている先輩の姿も印象的でした。
杏林大学医学部付属病院の特徴をお聞かせください。
多摩の医療の中心を担うところにあるため、専門性とともに、身近な緊急対応が求められます。他科との連携も密にし、助け合いながら診療を行っています。
研修体制については、総合研修センターがしっかりされていて、研修医の先生は守られていると思います。問題点の発見が早く、対応策が常にバージョンアップされているような印象を持っています。
また、杏林大学は外部からの割合が多く(杏林大学からは7割ほど)、出身大学による区別はありませんし、皆さん口にされることですが、杏林全体にアットホームな雰囲気があります。男女比は6:4ほど(2015年度実績・1年目:男性33名、女性20名、2年目:男性33名、女性18名)です。
腎臓・リウマチ膠原病内科についてはいかがでしょうか。
全身に関わる疾患であり、急性期だけでなく慢性的な経過や合併症をみていかなければならないため、患者さんやご家族との関係、患者さんの利益は何かが大切になってきます。もちろんエビデンスに基づいた治療というものがありますが、それだけではなく、患者さんの状況に合わせた対応を考えていく必要があります。
また、患者さんの症状は心不全や呼吸不全、合併症に伴う肺炎や腸炎など、多岐にわたりますので、他科の先生と協力しながら診ています。皮膚科や眼科などのマイナー科も、専門的な見地から分かりにくい病気を発見できることもあり、心強いです。
指導医として大切にされていることはなんでしょうか。
勉強や教科書的なものは自分の意欲で学べるものですが、患者さんから感じ取ること、患者さんに接することで得るものを意識するよう、促しています。
たとえば、病状説明やベッドサイドでの患者さんへの接し方にしても、ただ元気ですかと言うのではなく、顔色を見ながら昨日より元気そうだな、などと感じながら声をかけるようにする、そういったことの積み重ねで気付けるようになっていきます。
指導医としては、研修医ができていないことをただ言うのではなく、できていることを評価して、理解を深めながら次に進めるようにと意識しています。
忙しい毎日ですが、特に、ラウンドするときにアンテナを張って、研修医の先生の姿を見ながら、ここはできている、ここはできていないと明確に伝えるようにしています。
研修医に「これだけは言いたい」ということは。
医師免許はあるものの、研修医は何をすればいいのかと迷ってしまう人も見受けられますが、もったいないなと思っています。スーパーローテーションで各科を短期間で回っていきますので、人によってはなかなか自分を出せなかったり、すぐに場に溶け込むのが難しかったりもあります。やってみたかったことがいえなかった、というのではかわいそうですので、「最初から積極的に言っていいのよ」と伝えるようにしています。
医師になりたいと思った頃の気持ちを思い出して、患者さんからいろいろなことを学んでほしいと思います。
ご自身の研修はいかがでしたか。
研修医制度ではなく、医局に入局しましたので、専門性を意識するのは早かったですが、逃げ場がないというか、その中でやるのが当然という大変さもありました。密な関係性の中で、先輩の先生方の指導によって支えられていたなと思います。
今の研修医制度では関係が密接になりにくい、ということはあるかもしれませんが、体系的に研修医をサポートする部署があり、客観的な評価をしながら、指導医との関わりを築いていけるのはいいことだと思います。
選択肢が広がって悩む人も多いようですが、指導医としては研修中にどれだけ科の魅力を伝えられるかということも考えています。
これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生へメッセージをお願いします。
どんどん自分から率先して、やろうと思っていたことを大切にして、自分に合った病院を見つけてほしいと思います。大学病院と市中病院の良さをあわせもつ杏林大学病院は、できることが幅広く、いい選択肢になると思います。