オーダーメイド転職支援/事例1
診療科目の新設を提案!
医療機関に総合メディカルが推進する「オーダーメイド転職支援」その特徴と事例について、転職支援コンサルタントのH氏に話を訊いた。
「医師が転職先の医療機関で診療を始めることは、私にとってもまたスタートです。例えばオーダーメイドスーツを作るテイラーは、客が真新しいスーツに袖を通した瞬間から、サイズは合っているか、着心地はどうかと気になるものでしょう?私も同じです」H氏は柔和な眼差しでそう語る。その真髄を物語る格好のエピソードがある。
海を愛する形成外科医
S医師は30代後半、海をこよなく愛する男だった。専門は形成外科。但し美容外科は領域外。皮膚形成のスペシャリストである。
「日常的に海を感じられて、皮膚形成の専門性を活かせる病院」S医師の希望条件はこの2つだけ。だが早速行き詰まってしまう。通勤エリアに該当する病院がないのだ。県内に形成外科を標榜する病院は5つだけ、その中に海が近い施設は一つもない。「海は譲れない!」S医師の答えは明確だった。だが逆に、その一言でコンサルタントH氏の腹は据わった。エリア内の病院に、形成外科を作ってもらおう。
コンサルタントH氏はまずリサーチに着手した。地域の基幹病院として救急医療を担っており、形成外科医を必要としてくれそうな病院を徹底的に洗い出した。その作業とて容易ではない。エリアの診療圏分析、救急統計、病院ごとの救急体制や手術件数…。
要件をしらみつぶしに洗い出し、候補先を絞っていく。統計でわからないことはたずねるしかない。人脈を活かし、人づてに生きた情報を探る。いくつかの病院に繰り返し足を運んだ。
そしてようやく、自治体立のM病院にたどり着いた。ここなら、形成外科を必要としてくれるにちがいない。海が近い。晴れた日には屋上からの眺望も楽しめる。出勤前に海岸へ行き、まず潮風にあたってから診療を始めることも、日常的に可能だ。
ところが、すぐまた壁に当たる。M病院の場合、地方公営企業法は一部適用であり、診療科を増やし新たな医師を採用するとなれば、議会承認が必要となるのだ。事務長は、院長を説得できる材料さえあれば…と言う。形成外科について詳しく学ぶため、コンサルタントH氏は再度S医師を訪ねた。
形成外科の知られざる真理
「救急の現場で形成外科医が活躍する場面は多いです。例えば重度の熱傷、また事故による切創や裂傷など。頭頸部に外傷があれば、できるだけ顔に傷が残らないよう、形成外科専門医に要請が来ます。女性の患者さんなどは特にそうです」S医師は熱心に教えてくれた。
これだけではない。褥瘡の皮膚移植を血管ごと行えば、再生能力が格段に向上する。また、舌癌の病巣部を切除した後、太ももの筋肉を採取しやはり血管ごと移植して舌を作り上げる。言うまでもなく形成外科専門医の出番だ。コンサルタントH氏はこれらの情報をもとに形成外科の新設を訴えるため、S医師と共にM病院の院長へ直接掛け合った。院長は真摯な姿勢で耳を傾け、議会承認を得るため早速行動を起こしてくれたのだった。
オーダーメイド効果
S医師の採用効果は予想以上に高かった。メスを握らない日はほとんどないほど、入職早々から多忙を極める立場となった。M病院は地域の基幹病院であり、救急も標榜している。税金の繰り入れがある以上、救急は断れない。救急車の受け入れ件数も多く、外科系の急患も多い。「形成外科による治療効果は、患者の全人的見地からも極めて高い」病院長はS医師の採用を心から喜んでくれた。
「天気さえ良ければ、毎日のように海を見に行きます。診療が早めに終われば、海を見てから帰宅できますし、忙しい毎日だけど、この海を見ていると日常の雑多なことが小さなことに思えてくるんです。この病院に来て本当に良かったと、とても感謝しています」S医師は病院の屋上で、そう優しく語ってくれたのだった。
アフターフォロー
「当社では、紹介が成立した医師と入職後のフォロー面談を行います。無論、病院の了承を得た上で。その医師が定着し、病院の戦力となってくれて初めて、当社の紹介が奏功したと評価してもらえるからです。病院と医師両方にご満足頂かなければ、当社が紹介する意味はありません」コンサルタントH氏の言葉には、実績に裏打ちされた自信と誇りが垣間見える。
「困難を伴う案件こそ、成立した時の達成感は大きいです。みなさんに感謝されますから。苦労が報われたと感じられれば、それまでの疲れも吹き飛んでしまいます」コンサルタントH氏は明るく締め括ってくれた。
- ポイント
-
総合メディカルは、病院や医師との信頼関係を何よりも大切にする。求められる医療機関に、真に求められる人材を紹介することは、間接的立場とはいえ地域医療への貢献につながるからだ。
今回のケースで明らかになった、救急現場における形成外科医のニーズ。コンサルタントH氏による提案なくして、M病院が形成外科を標榜したとは考え難い。
診療圏データを分析し、見えざるニーズをあぶり出すことに成功したからこそ、それは説得力のある提案となったのだ。コンサルタントH氏のような「職人気質」に溢れたコンサルタントたちにより、オーダーメイド転職は支えられている。機械やシステムなどではなく、人が支えているからこそ、オーダーメイド転職は地域医療に受け容れられていると評すことができるのかも知れない。
- ここがオーダーメイド
-
- 医療機関に診療科目を新設させる提案を行った。
- 譲れないポイントを押さえた転職ができた。
- 転職者だけでなく、受け入れる医療機関にとってもメリットとなる転職を実現できた。
オーダーメイド転職支援とは、先生のご希望に沿った転職を実現するために
「医療機関に雇用の提案」を行うサービスです。